【開催予告】風間サチコ展:方丈ルームの1000里眼
「私は窓を閉じて千里を望む。」
四畳半のアトリエから世界を射抜く、風間サチコの東北初個展。
風間サチコ(1972年生まれ)は、黒一色で刷られた木版画で、近代化によって形づくられてきた日本社会の矛盾や違和感を描いてきました。オリンピックや原子力をめぐる出来事、学校などの身近な風景まで、私たちの日常と地続きの社会の出来事を、独自のユーモアと鋭い批評性を交えて表現しています。
本展では、近年の大型木版画に加え、作家が新たに取り組む油彩画を初公開します。油彩画には、弘前で出会った一冊の本がきっかけとなって生まれた「白鳥」を描いたシリーズを展示。他にも、青森県内の合浦(がっぽ)公園や浅所(あさどころ)海岸といった風景が登場し、歴史や文学、伝説のイメージと重ね合わされます。
社会のなかに潜む、言葉にしにくい違和感。人が世界をどう感じ、どう想像するかを大事にする風間の表現は、私たちの日常を別の角度から照らし出します。思わず笑ってしまうようで、どこか引っかかる。そんな社会の姿が、風間の視点から浮かび上がります。
アーティスト
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風間サチコ
1972年東京都生まれ、東京都在住。一つの画面に様々なモチーフが盛り込まれ構成された黒い木版画を中心に制作する。主な個展に、「Tokyo Contemporary Art Award 2019-2021 受賞記念展:風間サチコ ‘Magic Mountain’」(東京都現代美術館、東京、2021年)、「風間サチコ展 ―コンクリート組曲―」(黒部市美術館、富山、2019年)、「ディスリンピア2680」(原爆の図丸木美術館、埼玉、2018年)などがある。シドニービエンナーレ(オーストラリア、2024年)、横浜トリエンナーレ(神奈川、2017年)、光州ビエンナーレ (韓国、2016年)などの国際展をはじめ、国内外で数多くの展覧会に参加。
展覧会の見どころ
初の試みとなる油彩画を初公開
風間サチコ《ありがとう、我が愛する白鳥よ!》2026年 作家蔵©︎Sachiko Kazama Courtesy of the artist and MUJIN-TO Production Photo by Kei Miyajima
油彩 97.0×145.5cm
新作の油彩画では、文学や音楽に登場するさまざまな白鳥をモチーフにした作品を発表します。風間が白鳥に注目したきっかけは、2015年に、青森公立大学国際芸術センター青森(ACAC)で滞在制作をしていたときに訪れた弘前の古書店で、19世紀フランスの小説家ヴィリエ・ド・リラダンの『トリビュラ・ボノメ』を手にしたことでした。本書は、主人公であるボノメ博士が、科学的・理性的に世界を理解しようとしているにもかかわらず、奇妙で不条理な状況に巻き込まれる様子を描いた幻想小説です。例えば、ここに収録された『白鳥扼殺者(やくさつしゃ)』という短編では、主人公の博士は、締め殺される瞬間の白鳥の鳴き声が世界一美しい音色だと知り、その鳴き声を確かめるべく、中世の騎士の格好で白鳥を殺しに水辺へ向かいます。ここでの白鳥は、個人の感情や想像力、耽美的な美しさといった、人間の科学的ではない非合理的な美の存在の象徴であり、この物語は新作の《白鳥扼殺者》として結実する予定です。
また、《ありがとう、我が愛する白鳥よ!》(2026年)は、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『ローエングリン』の主人の騎士が、窮地に陥った姫を助けるために、白鳥が引っ張る小船に乗って登場する場面が、夏泊(なつどまり)半島の平内町(ひらないまち)・浅所(あさどころ)海岸の風景に取って代わり、ここに伝わる白鳥にまつわる伝説が重ね合わせられています。風間は、こうした日本各地に残る身近な近代の舞台と、オペラや小説、伝説上のイメージを組み合わせることで、私たちの日常と隣り合わせのロマン主義的な空想世界を描き出そうとします。
近年の代表的な木版画作品も多数展示
風間サチコ《ディスリンピック2680》2018年 作家蔵(A.P.) Photo by Kei Miyajima木版(和紙、油性インク) 242.4×640.5cm
吹き抜けの空間が特徴的な当館の展示室を中心に、近年の風間の活動を象徴する大型の木版画を展示します。2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を契機に制作された《噫(ああ)!怒涛(どとう)の閉塞艦(へいそくかん)》(2012年)では、核と原子力をめぐる歴史上の災害と人間社会の関係を描き出し、《ディスリンピック2680》(2018年)では、2020年に予定されていた東京オリンピックと、1940年に開催が予定されつつも戦争のために開催が見送られた幻の東京オリンピックを重ね合わせて描きました。《第一次幻惑大戦》(2017年)では、江戸時代の小説に登場する架空のヒーローである妖術使いの児雷也が、現代での社会規範の中で生きるサラリーマンとの戦いを繰り広げる様子を描いています。近現代社会の仕組みと個人のはざまの葛藤を、寓話的なイメージによって構成した作品を紹介します。
アーティストインタビュー
本展開催にあたり作家にインタビューを行いました。動画でご覧いただけます。
展覧会チラシ

デザイン:黒丸健一
展覧会カタログ
本展の公式カタログは会期中に発行予定です。
開催概要
- 会期:2026年6月5日(金)〜11月15日(日)
休館日:火曜日(ただし8月4日、8月11日、9月22日、11月3日は開館)、8月12日(水)、9月24日(木)、11月4日(水)
開館時間:9:00−17:00
入館は閉館の30分前まで
会場:弘前れんが倉庫美術館 - 主催:弘前れんが倉庫美術館
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特別協賛:スターツコーポレーション株式会社
協賛:株式会社大林組、株式会社NTTファシリティーズ
協力:無人島プロダクション
後援:東奥日報社、デーリー東北新聞社、陸奥新報社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、エフエム青森、FMアップルウェーブ、弘前市教育委員会 - 観覧料[税込]:
一般 1,600円
大学生・専門学校生 1,000円
高校生以下無料
[弘前市民料金] 一般 1,000円、大学生・専門学校生 500円
※弘前市民の方は、受付で住所が確認できるものをご提示ください。(他の割引との併用不可)
※以下の方は無料
・高校生以下の方
・弘前市内の留学生の方
・満65歳以上の弘前市民の方
・ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方
・障がいのある方と付添の方1名
当館に駐車場はございません。
観覧料割引駐車場をご利用の方は、観覧料が100円引きになります。(2名まで)
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