2021年度 春夏プログラムりんご宇宙 ―Apple Cycle / Cosmic Seed
+ジャン=ミシェル・オトニエル、笹本晃、潘逸舟(ハン・イシュ)
英国・ウェールズ出身で世界的に活躍するアーティストのケリス・ウィン・エヴァンスは、2019年に弘前を訪れリサーチを行いました。そこで出会ったりんごに着想し、その断面のフォルムから万有引力の公式、惑星の軌道といった象徴的なイメージやモチーフをグラフィカルに組み合わせた巨大な灯(ともしび)、あるいは光のトーテムのような作品を生み出しました。
まるで、美術館の吹き抜け空間を照らすかのようなネオン管を使った巨大な彫刻作品は、「植物としてのりんごの生」、「りんごからシードルへの加工・生産の残像」、「原罪の比喩(欲望・原動力)」、「ユリイカ(わかった!)の瞬間」、「ニュートンの万有引力から導かれる宇宙の自然法則、太陽の周囲をめぐる軌道」など、りんごをめぐる思考が発想の元となっています。
2021年度の春夏、秋冬プログラムは、より自由な展示のリズムや空間の使い方を探り、作品の多様な解釈を促すことを念頭に、本作品を核として異なるテーマ・展示内容で構成されます。
第一部となる「りんご宇宙―Apple Cycle/Cosmic Seed」では、りんごをめぐる豊かな思考と想像に着目した多様な作品を展示します。りんごは、西洋美術史において、古来より豊穣や生命のはかなさなどの象徴として多く描かれてきました。本展は、必ずしもそうした表象のみを取り上げるものではなく、現代のアーティストらによる、りんごを素材とした新たな創作アプローチや、生と死、循環、種子、変容などに関連して、りんごという日常の身近な存在から宇宙規模に展開される多様なイマジネーションのかたちを紹介します。
さらには、美術史上のりんごの表象や、「弘前エクスチェンジ」におけるりんごに関する様々な地元の研究や取り組みなども併せて、改めてりんごの意味の豊かさや可能性に触れ、新たな発見に繋がる機会になることを願います。
ゲスト・キュレーター 三木あき子
アーティスト
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雨宮庸介
1975年、茨城県生まれ、ベルリン在住。 独自の話法を用いたパフォーマンス、普遍性に超絶技巧をかけあわせた具象彫刻、1300年かかるプロジェクトなど、さまざまな手法を用いた作品は、鑑賞者をいつのまにか違う位相へと連れ出し、物事の境界線への再考を促す。
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Photo: Ali Janka
ケリス・ウィン・エヴァンス
1958年英国、ウェールズ生まれ。 英国、ロンドン在住。80年代から実験的な映像作品を手がけ90年代以降はネオン、音、鏡などを用いて制作。哲学や音楽、天文学、物理学など多様な分野に基づく作品は、国際的に高い評価を得ている。各国の主要美術館で個展を行っており、2019年は巨大な展示空間で知られるミラノのハンガービコカにて個展を行った。第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展ウェールズ館代表(イタリア、2003年)。ヘップワース彫刻賞受賞(英国、2018年)。主な所蔵先にテート・ブリテン(英国)、スコットランド国立美術館(英国)、ニューヨーク近代美術館(米国)など。
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撮影:齋藤さだむ
河口龍夫
1940年、兵庫県神戸市生まれ、千葉県在住。 1960年代から精力的に作品を発表し続け、国内外より高く評価されている。物と物、あるいは物と人などの相互の関係性をテーマに作品を制作し、多様なものを銅や鉛、蜜蝋で包み封印する作品で知られる。時間や生命、あるいはエネルギーなど、目に見えない関係そのものを作品を通じて顕在化させることで、可視化が困難な概念を鮮やかに提示する。
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©Aya Takano/Kaikai Kiki Co., Ltd.
タカノ綾
1976年、埼玉県生まれ、神奈川県在住。多種多様なジャンルからインスピレーションを得て独自の宇宙を構築するタカノは、至福や理想郷をテーマにアンドロジナスな人物や動物の姿を描いた神話的世界観が漂う作風で知られる。SFをテーマにしたエッセーや漫画も手がける。
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Photo: Enric Duch
和田礼治郎
1977年、広島県生まれ、ベルリン在住。 形態、時間、液体、自然、生の儚さを暗示する「ヴァニタス(虚栄)」という古来の主題などの諸要素への関心を、独自の手法で彫刻化していく。それは時には自然そのものを用いて環境に直接的に働きかけ、多次元的な、生きる彫刻として私たちが生きる空間や時間に介入し、我々の知覚に作用を及ぼす。
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Photo: Philippe Chancel
ジャン=ミシェル・オトニエル
1964年、フランス / サン=テティエンヌ生まれ、パリ在住。 1990年代初頭より、変容、昇華、変異などの現象に関心を寄せながら、可逆性の素材を用いた作品を制作している。特にムラーノガラス等を用いた、展示環境と調和する数々の大型彫刻作品で世界的に知られる。
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Photo: Kazuko Fukunaga
笹本晃
1980年、神奈川県横浜市生まれ、ニューヨーク在住。 空間を彫刻的に分節し、その環境の中で自らの身体によるダンスや、言葉、モノを用いた即興的なパフォーマンスを行う作品を中心に、彫刻やインスタレーションを発表している。
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潘逸舟(ハン・イシュ)
1987年、中国 / 上海生まれ、東京都在住。 社会と個の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自らの身体や身の回りの日用品を用いて、映像、インスタレーション、写真、絵画など様々なメディアを駆使しながら、真摯に、時にユーモアを交えながら表現する。
開催概要
- 会期:2021年4月10日(土)〜 8月29日(日)
休館日:火曜日
※ただし4月27日(火)、5月4日(火)、8月3日(火)は開館
開館時間:9:00-17:00(入館は閉館の30分前まで) - 主催:弘前れんが倉庫美術館
- 観覧料[税込]:
一般 1,300円 (1,200円)
大学生・専門学校生 1,000円 (900円)
※()内は20名様以上の団体料金
以下のサービスをご利用の場合にも、団体料金が適用されます。詳しくは各リンクをご参照ください。
○提携駐車場 詳しくはこちら
○わにサポ 詳しくはこちら
※以下の方は無料
・高校生以下の方
・弘前市内の留学生の方
・満65歳以上の弘前市民の方
・ひろさき多子家族応援パスポートをご持参の方
・障がいのある方と付添の方1名