栗林隆《元気炉》× L PACK.ほか《いっしょくたにへば たげめぐなるはんで》
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「AOMORI GOKAN アートフェス 2024」の共通企画として、栗林隆による《元気炉》が開催館を巡回します。
栗林隆は、空間の内と外、自然と人間、人間同士の間にある境界など、あらゆる時代や場所に存在する「境界」に目を向けて、その意味を問い直すような作品を制作してきた作家です。《元気炉》は、原子炉の形状をした構造物に薬草の香りを帯びた蒸気を発生させて、観客が中に入って体験することが可能な作品です。本作は、作家がかつてタイに赴いた折、その土地で採取されるハーブを用いたスチームサウナによって、体調不良だった体にエネルギーを取り戻したという経験に由来します。ここには、2011年の東日本大震災後に再認識した原発事故の恐ろしさと、持続性の高い自然エネルギーや再生可能な社会に向けた提案とを重ね合わせた構造となっています。原子炉を模した作品の内部空間や周囲に人々が集い、植物のエネルギーを感じることのできる本作は、人と自然の境界線上に生まれた場所であり、それは本アートフェスのテーマである「つらなりのはらっぱ」を体現するように、ここに集った人々が、みえざる境界線をまたいで、世界との新たな関係性を構築する機会を生み出そうとするものです。当館では、《元気炉》の展示とともに、L PACK.によるイベントを開催予定です。
会場:土淵川吉野町緑地(弘前れんが倉庫美術館前)※詳細は後日決まり次第、本ページでお知らせします
※各館の巡回についてはこちら
プロフィール
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photo: Rai Shizuno
栗林隆
1968年、長崎県出身。東西統合から間もない1992年よりドイツに滞在、その頃より「境界」をテーマにドローイング、インスタレーション、映像など多様なメディアを使いながら作品を発表。現在は日本とインドネシアを往復しながら国際的に活動する。主な展覧会に、2022年、ドクメンタ15(Cinema Caravan and Takashi Kuribayashiとして)、カッセル、ドイツ。2019年、瀬戸内国際芸術祭2019「伊吹の樹」、伊吹島、香川。2018年「パレ・ド・トーキョー Enfance/こども時代」展、パレ・ド・トーキョー、パリ、フランス。2012年、個展「Water >I< Wasser」十和田市現代美術館、青森など。
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Photo: Koichi Tanoue
L PACK.
小田桐奨(1984年青森県生まれ)と中嶋哲矢(1984年静岡県生まれ)によるユニット。ともに東京都在住。静岡文化芸術大学空間造形学科卒。アート、デザイン、建築、民藝などの思考や技術を横断しながら、最小限の道具と現地の素材を臨機応変に組み合わせた「コーヒーのある風景」をきっかけに、まちの要素の一部となることを目指す。